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高橋 裕 プロフィール年譜 15年1月更新

西暦 年 譜 作品名 C D
編 成 出 版
1953 京都に生まれる。幼き頃より父、高橋恒治よりピアノとソルフェージュの手ほどきを受ける。
1968 15歳 松村禎三氏の紹介により池内友次郎氏に師事、和声学を学ぶ。ピアノを金澤桂子氏に師事。大阪にて山田光生氏に和声学を、山田みつ氏にピアノを学ぶ。
1969 16歳 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校作曲科に入学。和声学を野田暉行氏に、作曲を永冨正之氏、ピアノを小川富子氏に師事する。
1972 19歳 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を卒業。松村禎三氏家に止宿し教えを受ける。
1973 20歳 東京藝術大学音楽学部作曲科に入学。作曲を宍戸睦郎氏、和声学フーガを尾高惇忠氏に、ピアノを金澤桂子氏に師事する。
1974 21歳 インドネシア、ワヤン・クリ、ガムランの旅。
1975 22歳 作曲を松村禎三氏に師事。オーケストラのための「Ganesh Himal」が、学内モーニングコンサートにて演奏される。能楽、謡と仕舞を寺井良雄氏について稽古を始める。
1977 24歳 作曲科卒業。同大学院作曲専攻入学。黛敏郎氏に師事。
1980 27歳 東京藝術大学大学院作曲専攻修了。修士修了作品「Sinfonia Liturgica」が、日本交響楽振興財団第2回作曲賞に入選、秋山和慶指揮東京交響楽団により初演される。インド・ネパール仏跡巡拝の旅。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校非常勤講師となる。 「Sinfonia Liturgica」 「シンフォニック・カルマ」高橋裕 管弦楽作品集DENON COCO80778〜9
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3管Orchestra  
1983 30歳 「般若理趣交響曲」が、世界仏教音楽祭コンクールにおいて第1位受賞。秋山和慶指揮、東京混声合唱団、東京交響楽団により初演される。 「般若理趣交響曲」 「シンフォニック・カルマ」高橋裕 管弦楽作品集DENON COCO80778〜9
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Mixed chorus、3管Orchestra サントリー音楽財団 S-8301
1986 33歳 韓国仏跡巡礼の旅。
1987 34歳 「弦楽四重奏曲」が国際カール・マリア・フォン・ウェーバー室内楽コンクールにおいて第1位受賞。旧東ドイツ、ドレスデンにおいて、コミッシェン・オパー・ベルリン弦楽四重奏団により初演される。「時の会」結成、室内楽作品展にて「弦楽四重奏曲」を改訂初演。 「弦楽四重奏曲」 〜宇宙の相を聴く〜 ”プラーナ” 高橋裕 室内楽 作品集
Camerata CMCD 99079〜80
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String Quartet (社)日本作曲家協議会JFC-8803
1988 35歳 「弦楽のための三つの楽章」(弦楽四重奏曲より)が、岩淵龍太郎指揮、神戸室内合奏団により初演される。藤堂音楽賞受賞。 「弦楽のための三つの楽章」
String Orchestra
1989 36歳 「Sinfonia Liturgica」が、旧ソ連タタール自治共和国、カザン国際音楽祭において演奏される。「弦楽のための三つの楽章」が、オランダ、アムステルダムにおいて演奏される。「弦楽四重奏曲」がフィンランド、クフモ音楽祭において、澤和樹ひきいる弦楽四重奏団により演奏される。
1990 37歳 「Symphonic Karma」が、「時の会」管弦楽作品展において、岩城宏之指揮、東京フィルハーモニー交響楽団により初演される。 「Symphonic Karma」 「シンフォニック・カルマ」高橋裕 管弦楽作品集DENON COCO80778〜9
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3管Orchestra 全音楽譜出版社 OS-145
1991 38歳 東京において「タタール音楽祭」を主催。クライとボタン・アコーディオンのための「タタール幻想」初演。「弦楽四重奏曲」が、旧ソ連レニングラード「春の音楽祭」において、演奏される。「Symphonic Karma」が、第1回芥川作曲賞を受賞する。 クライとボタン・アコーディオンのための「タタール幻想」
クライ、ボタン・アコーディオン
1992 39歳 「Symphonic Karma」が、ロシア、日本タタール音楽祭にて演奏される。オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱作、笙とオーケストラのための「風籟」が、岩城宏之指揮、オーケストラ・アンサンブル金沢により初演。特別賞が与えられる。「般若理趣交響曲」が、ISCM World Music Warsawで入選、改訂初演される。「弦楽のための三つの楽章」が、ロスアンジェルスにて演奏される。東京藝術大学音楽学部講師、同附属音楽高等学校教諭となる。 笙とオーケストラのための「風籟」 「シンフォニック・カルマ」高橋裕 管弦楽作品集DENON COCO80778〜9
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笙、2管Orchestra 全音楽譜出版社
1993 40歳 京都新人賞受賞。「弦楽のための三つの楽章」が、サンフランシスコにて演奏される。「Symphonic Karma」がISCM World Music Days Mexicoで入選、演奏される。第1回 芥川作曲賞受賞記念 サントリー音楽財団委嘱作「Piano Concerto」が、ピアノ海老彰子、小松一彦指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団により初演。「Sinfonia Liturgica」「般若理趣交響曲」をポーランド、カドヴィツにてレコーディングをする。 「Piano Concerto」 「シンフォニック・カルマ」高橋裕 管弦楽作品集DENON COCO80778〜9
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Piano、3管Orchestra  
1995 42歳 「弦楽四重奏曲」が、ロシア、クラスノヤルスク国際音楽祭において演奏される。
1996 43歳 箏とマリンバ合奏による「ひふみ神歌」が、グアテマラ、アンティグア、グアテマラシティー、チチカステナンゴ、サンペドロ・サカテペケスにて、箏 中山衣代、マリンバ・デ・コンシェルト・デ・ベジャスアルテスにより初演される。 「ひふみ神歌」 Guatemala
箏、
Marimba ensemble
 
1997 44歳 澤和樹&蓼沼恵美子、デュオ結成20周年記念委嘱作、ヴァイオリンとピアノのための「プラーナ」初演。2枚組CD「シンフォニック・カルマ」高橋裕 管弦楽作品集DENON よりリリースされ、レコード芸術誌に特選盤として選ばれる。 ヴァイオリンとピアノのため の「プラーナ」 〜宇宙の相を聴く〜 ”プラーナ” 高橋裕 室内楽作品集
Camerata CMCD99079〜80
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Vn. Pf.
1998 45歳 「ひふみ神歌」がグアテマラでレコーディング、グアテマラよりCDリリースされる。
1999 46歳 「Symphonic Karma」「ひふみ神歌」が、グアテマラ、日本文化月間において演奏される。「ひふみ神歌」がドイツ、ワイマール、フライブルグ、で演奏される。京都市交響楽団委嘱作「Kamnabi」が大友直人指揮、京都市交響楽団により初演される。 「Kamnabi」
3管Orchestra
2000 47歳 「Symphonic Karma」がベラルーシ、ミンスクでおこなわれた国際音楽祭で演奏される。
2001 48歳 「弦楽のための三つの楽章」を、ポーランド、ワルシャワにてレコーディングする。「Kamnabi」が、グアテマラ、日本文化月間において演奏される。高橋晴美の世界オリジナルコンサートにおいて、合唱とオーケストラの指揮をする。
2002 49歳 「弦楽四重奏曲」が、英国、ケンブリッジ、ロンドンにてSAWA QUARTET により演奏される。
2003 50歳 高橋裕 室内楽作品展をSAWA QUARTET、蓼沼恵美子の演奏により開催する。無伴奏ヴィオラのた めの「アハウ・カン」を、市坪俊彦により、「ピアノ五重奏曲」をピアノ蓼沼恵美子、SAWA QUARTETにより初演される。 六重奏曲 「迦楼羅」が、チェコと日本の作曲家による現代室内楽作品の夕べにおいて初演される。チェコ、ブルノ、プラハにおいて6重箏曲”迦楼羅”が演奏される。日米150年祭、シカゴ日本領事館主催の演奏会において、笙とオーケストラのための「風籟」が演奏される。 無伴奏 ヴィオラのための「アハウ・カン」 /「ピアノ五重奏曲」/六重 奏曲「迦楼羅」 〜宇宙の相を聴く〜 ”プラーナ” 高橋裕 室内楽作品 集
Camerata CMCD99079〜80
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Viola Solo/ Piano & String Quartet 六重奏曲「迦楼羅」マザーアース NO.T1401
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2004 51歳 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校創立50周年記念、同窓生オーケストラ コンサートにおいて、2群の箏と弦楽合奏のための「天籟」渡邉康雄指揮、箏佐野美和、守時昌美、大西愛子、前川智世、同窓生オーケストラによる演奏により初演される。 2群の箏と弦楽合奏のための「天籟」
4箏、String Orchestra
2005 52歳 グアテマラシティーにおいて、2群の箏と弦楽合奏のための「天籟」が演奏される。「ひふみ神歌」が、コスタリカ、サン ホセ、ホンデュラス、テグシガルパ、ニカラグア、マナグア、ペルー、リマにて演奏される。
2006 53歳 オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱、能とオーケストラのための「葵上」を、小泉和裕指揮オーケストラ・アンサンブル金沢、シテ藪俊彦、金沢能楽会の演奏により、初演される。 能とオーケス トラのための「葵上」
能楽、2管Orchestra
2007 54歳 NPO法人 風の船 ヒロシマ・ナガサキ平和の祈り、五色のコンサートにおいて合唱とオーケストラの指揮をする。故松村禎三氏の弟子、縁ある 音楽家とともにアプサラスを結成し会長に就任する。
2008 55歳 チャリティーコンサート 高橋晴美 愛と癒しの歌in京都において合唱とオーケストラの指揮をする。オーケストラ・アンサンブル金沢委嘱、能とオーケストラのための「井筒」を、井上道義の指揮により初演する。サウンドルート2008-U日本-ウクライナにおいて、自作の六重奏曲「迦楼羅」の指揮を行う。能とオーケストラのための 「葵上」(観世流版)を京都アルティ合奏団[第1回公演]において自身の指揮にて、初演を行う。 能とオー ケストラのための「井筒」
能楽、2管Orchestra
2009 56歳 シンガポール、インド、アメリカ、ルクセンブルグ、オーストラリア、ベナン、ペルーの6大陸に渡って合唱の指導を行い、交響詞「神向き讃歌」を自身の指揮で初演する。アプサラス第1回演奏会を開催する。 交響詞「神向き讃歌」
朗読、Mixed chorus、3管Orchestra
2010 57歳 2020 ヒロシマ・オリンピック招致応援イベント Peace Piece Concert in ヒロシマの合唱とオーケストラの指揮をする。中日青少年交流演奏会 北京と上海において 作編曲「茉莉花と桜の宴」を自身の指揮で初演する。芥川作曲賞創設20周年記念ガラ・コンサートにおいて 無伴奏ヴィオラのための「アハウ・カン」を再演する。 「茉莉花と桜の宴」
室内管弦楽・中国民族楽器、邦楽器、声楽
2011 58歳 3月 オペラ「双子の星」を京都府民ホールアルティにおいて自身の指揮で初演する。
5月 東日本大震災チャリティーコンサート 高橋晴美の愛と癒やしの世界を杉並公会堂大ホールで合唱 とオーケストラの音楽監督・指揮をつとめる。
7月「がんばろう宮城、岩手!応援コンサート」の音楽監督・指揮をつとめる。アジア音楽祭2011オーケストラコンサート〈指揮者は作曲者〉において、自作の「風籟」を東京フィルハーモニー交響楽団で指揮再演する。
11月 福島二本松市石井体育館においてほっと一息コンサートの音楽監督・指揮をつとめる。
オペラ「双子の星」
1管、狂言師、俳優、オペラ歌手、児童合唱
2012 59歳 北京中央音楽院附属中等音楽学校を招いて藝大附属音楽高等学 校と日中青少年交流演奏会を行い、「茉莉花と桜の宴」を自身の指揮で演奏する。NPO法人負けないぞ福島宣言、市民大集合コンサートにおいて、合唱とオーケストラの指揮を行う。アプサラス第3回演奏会を行い、アプサラス編「松村禎三 作曲家の言葉」を春秋社から出版する。
2013 60歳 邦楽器&オーケストラ・アンサンブル金沢 ジョイント・コン サート 邦と洋の饗宴において、笙とオーケストラのための 「風籟」の再演と、琵琶とヴィオラ、オーケストラのための「二天の風」の初演を自らの指揮で行う。アプサラス第4回演奏会を開催する。 琵琶とヴィオラ、オーケストラのための「二天の風」
琵琶、Viola、2管Orchestra
2014 61歳 高橋裕  和楽とオーケストラのための個展「和と洋の想を聴く」を開催し、笙とオーケストラのための「風籟」、琵琶とヴィオラ、オーケストラのための「二天の風」、能とオーケストラのための「葵上」をオーケストラ・アンサンブル金沢と開催し、自身の指揮で再演する。琵琶、尺八、一三絃箏、一七絃箏、和太鼓、オーケストラ、合唱のための「まほらまの君」を自らの指揮で初 演する。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校 創立60周年記念同窓会演奏会において4人のソプラノのための「敗れし少年の歌へる」を自らのピアノ伴奏で初演する。ラヴェルピアノ協奏曲の饗宴を金澤希伊子、櫻木枝里子ピアノ、高橋裕の指揮で開催する。
2015 62歳 3月、オペラ「双子の星」〜東日本大震災復興応援公演〜仙台オ ペラ
協会、NHK仙台少年少女合唱隊、オペラ「双子の星」管弦楽団、自身の指揮による、仙台公演・東京公演を行う。4月大阪芸術大学客員教授に就任。
4月大阪芸術大学客員に就任。 平成27年度 全国音楽高等学校協議会全国大会(金沢)委嘱作品「ファンタジック・ポエム・金沢」初演。
2人のソプラノと箏、オーケストラのための「ファンタジック・ポエム・金沢」
2Sop. 箏、Orchestra
2016 63歳 3月、オペラ「双子の星」〜東日本大震災復興応援公演〜 盛岡公演を行う。4月名古屋音楽大学特任教授に就任。
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作品リスト 16年5月更新

シンフォニア・リトゥルジカ [Sinfonia Liturgica]
オーケストラがユニゾンで動きまわるオスティナートは圧倒的である。
作曲年 1980
編成 Orch3管編成
演奏時間 30'36”
初演年月日・会場
1980年6月21日東京文化会館大ホール
初演者
秋山和慶指揮  東京交響楽団
主な演奏履歴
1989年 旧ソ連タタール自治共和国、カザンにて演奏される
出版者名 -
備考
ポーランドで録音された演奏が、CD 高橋裕管弦楽作品集に収録されている。
曲目解説
Liturgicaとは宗教的な祭式を意味する。曲の冒頭、圧倒的なフォルティッシモのユニゾンで始まる。それは狂暴ともいえる根源的な生命の、抑えることの出来ない律動の讃歌である。大地や天への祈りとともに、音響や旋律による様々なオスティナートが渦巻いていく。曲は大きく三つの流れに分かれているが、簡明な形をとり、原始宗教の呪術的な祭典を想起させる。

般若理趣交響曲 [Prajňā-naya Symphony]
密教経典の般若理趣経をテキストとする、本格的な合唱とオーケストラの音楽である。
作曲年 1983
編成 Mixed Chorus Orch3管編成
演奏時間 24'18”
初演年月日・会場
1983年5月10日 日比谷公会堂
初演者
秋山和慶指揮  東京交響楽団 東京混声合唱団
主な演奏履歴
1992年 ISCM World Music Days Warsaw で演奏される。
出版者名 サントリー音楽財団 (社)日本作曲家協議会 S-8301
備考
ポーランドで録音された演奏が、CD 高橋裕管弦楽作品集に収録されている。
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曲目解説
般若理趣経、正式には大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品と言う。人間の存在、ことにその根源とも言える男女の愛欲までも肯定していくこの密教経典は、人間の欲から広げて森羅万象に至るまで、一切が清らかで菩薩の位であると喝破している。8世紀の中国、唐時代に不空三蔵によって漢訳された経典を用い、全十七段の核となる初段全文を歌詞として使用した。この曲の生命線は旋律の流れにあると言える。密教のもつ根源的な生命力を表すのに、複雑に入り組んだ手法は必要としなかった。旋律線は徐々に変容し、紡ぎ出されるように受け継がれて一つの大きな歌となって曲は終わる。

弦楽四重奏曲  [String Quarutet]
3楽章の弦楽四重奏曲、アジアの根源的生命感と日本の静寂の世界を合わせもつ。
作曲年 1987
編成 TVn.UVn.Va.Vc
演奏時間 25'00”
初演年月日・会場
1987年5月25日ドレスデン・ブロックハウス
初演者
Solisten-Streichquartett der Komischen Oper Berlin
主な演奏履歴
フィンランド・ロシア・イギリス・アメリカ・オランダ各国で演奏されている。
出版者名 (社)日本作曲家協議会 JFC-8803
備考
この曲は、Cbパートを加え「弦楽のための3つの楽章」として編曲されている。
〜宇宙の相を聴く〜 ”プラーナ” 高橋裕 室内楽作品 集 Camerata CMCD99079〜80
曲目解説
第T楽章冒頭、quasi non Vibrato Vn.Uの旋律は静寂の中から魂の静まりを願うかのように歌いだされる。Va.、Vn.T、Vc.と一つ一つ絡み合う声部が増える中、それ自体が増殖能力を持つように、徐々に大きな宇宙を形成していく。童子の歌を聴くような第U楽章の旋律は多くの休符ともないながら歌い続けられる。Attaccaで続けられるAllegroの第V楽章は圧倒的な8分音符のオスティナートが繰り返され、狂熱的なクライマックスの後やがて第T楽章の静寂へと戻っていく。

弦楽のための3つの楽章 -弦楽四重奏曲より-  [3Movements for String Orchestra]
弦楽四重奏曲、にCbが加わり編成が大きくなるとともに、ダイナミックな表現が加わっている。
作曲年 1988
編成 TVn.UVn. Va.Vc.Cb.
演奏時間 25'00”
初演年月日・会場
1998年10月29日  舞子ビラ
初演者
岩淵龍太郎指揮神戸室内合奏団
主な演奏履歴
アメリカ・オランダ・ポーランドなどで演奏されている。
出版者名 (社)日本作曲家協議会 JFC-8803
備考
弦楽四重奏曲を原曲として編曲された。
曲目解説
弦楽四重奏曲を原曲としている。新たにコントラバスが加わっているが、それだけではない弦楽四重奏と弦楽合奏との根本的な違いが現れる佳作となっている。芯の太いダイナミズムさを兼ね備えるようになったこの交響的作品は、アムステルダムや、ロスアンジェルス、サンフランシスコでも好評を博した。

シンフォニック・カルマ  [Symphonic Karma]
重層的なヘテロフォニーや、ポリフォニーによって曲は始まるが、内なる世界を聴く様相を呈している。
作曲年 1990
編成 Orch3管編成
演奏時間 24'59”
初演年月日・会場
1990年7月31日   Bunkamuraオーチャードホール
初演者
岩城宏之指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
主な演奏履歴
1993年 ISCM World Music Days Mexico他タタール、グアテマラ、ベラルーシ各国で演奏されている。
出版者名 全音楽譜出版社  OS-145
シンフォニック・カルマ マザーアースNo.T14い91
備考
第1回芥川作曲賞受賞時の演奏が、CD高橋裕管弦楽作品集に収録されている。
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曲目解説
圧倒的なオーケストラのうねりの響きに身が翻弄された時、既にそこには意識や観念、小さなコンセプトなどは消えてしまっていた。大いなる響きは次々と新たな世界を生み出し絡み合いながら、オーケストラのカルマを創り出していく。Karmaは人間の行為、業を表す。広げて行為の結果、この結果を生み出す法則、そして大きくは天体の運行のように計り知れない法則までをも意味するという。

笙とオーケストラのための「風籟」  ["Furai" for Sho and Orchestra]
笙とオーケストラが微かな移ろいの中で解け合い徐々に大きな広がりをもっていく。
作曲年 1992
編成 笙,Orch2管編成
演奏時間 14'51”
初演年月日・会場
1992年4月24日 石川厚生年金会館
初演者
笙・石川高、岩城宏之指揮  オーケストラ・アンサンブル金沢
主な演奏履歴
シカゴ、グアテマラシティーでも演奏されている。
出版者名  
備考
東京交響楽団の再演時にはTb.を加えた版で演奏、CD高橋裕管弦楽作品集に収録されており、スコアは全音楽譜出版社から出版されている。
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曲目解説
太陽と地球、この妙なる位置関係は地球に水を存在せしめ、大気を生ぜしめる。季節や日夜の温度差は、この大気の中に流れを呼び起こし風を生むもととなる。風籟とは空気が動くことによって鳴る、また風が森羅万象にあたって鳴る音という意味合いを持っている。奏者の呼吸する息が笙の中に空気の流れを起こし、竹につけられたリードを鳴らしてゆく。僅かな空気の動きによって生じる音から、大地の自転と大気とが擦れ合って轟々と鳴り渡る音まで、相は移り変わってゆく。笙の旋律は重なり合って合竹(和音奏法)となり、その技法はオーケストラにまで影響を及ぼし、曲を大きく構築してゆく。

ピアノ協奏曲  [Piano Concerto]
クラスターに近い残響の中を、オーケストラが滲みながら加わっていく。
作曲年 1993
編成 Piano,Orch3管編成
演奏時間 24'13”
初演年月日・会場
1993年8月28日  サントリー大ホール
初演者
Pf海老彰子、小松一彦指揮  新日本フィルハーモニー交響楽団
主な演奏履歴
関西フィル、京響でも演奏されている。
出版者名 -
備考
関西フィルの演奏が、CD高橋裕管弦楽作品集に収録されている。
曲目解説
ピアニズムを駆使した古今のピアノ協奏曲を前にして、長い間私が書くことのない曲種であろうと思い続けていた。今までにない新たな実体をもち、それでいてピアノでしか実現できないリアリティーを兼ね備えた曲となると、獏とした姿すらも思い描くことが出来なかったからである。これまでも一貫して西洋生まれのオーケストラを用いながらも、発想は日本やアジアの音楽がもつオリジナルな実態を追い求めていた。そして前作、雅楽の伝統楽器である笙とオーケストラの曲を書いたのがヒントとなって、ピアノ・コンチェルトを書く大きなきっかけとなった。ソロ楽器とオーケストラが溶け合い、滲み合う実態に新たな可能性を見出したのである。クラスターに近い和音の打鍵による長い余韻、うなりのようなものを聴くところから作曲が始まることとなった。梵鐘の響きの余韻、能楽の小鼓や大鼓の打ち込みから次の音が発するまでの間。その宙に響き渡る音群はオーケストラと交じり合って一つの広大な世界を形造っていった。

箏とマリンバのための「ひふみ神歌」  ["Hifumi God Song " for Koto and Mrimba ensemble]
ひふみの祝詞とともに箏にマリンバの合奏が加わってゆく。
作曲年 1996
編成 箏,2Marimbas
演奏時間 15'23”
初演年月日・会場
1996年4月27日 グアテマラ、アンティグア
初演者
箏・中山衣代 マリンバ・デ・コンシェルト・デ・ベジャス・アルテス
主な演奏履歴
グアテマラ各都市をはじめ、ドイツ各都市でも演奏されている。
出版者名 -
備考
グアテマラでCDがリリースされている。
曲目解説
グアテマラの著名なマリンバ合奏団、マリンバ・デ・コンシェルト・デ・ベジャス・アルテス創立14周年の記念に箏とマリンバ合奏による新作を献呈し、1996年グアテマラの4都市で初演された。グアテマラの国の楽器であるマリンバと日本の代表的伝統楽器の箏による演奏とともに、古神道の祝詞である「ひふみ」が歌われ、異次元の神の世界に立ち入ることになる。

ヴァイオリンとピアノのための「プラーナ」  ["Prana"for Violin and Piano]
ピアノの広大な宇宙の中を、擦弦楽器独特なヴァイオリンの重弦の音が響き渡る。
作曲年 1997
編成 Vn,Pf
演奏時間 17'20”
初演年月日・会場
1997年5月16日 東京文化会館
初演者
Vn澤和樹,Pf蓼沼恵美子
主な演奏履歴
高橋裕室内楽作品展、日本ロシア交流演奏会等で演奏されている。
出版者名 -
備考
〜宇宙の相を聴く〜 ”プラーナ” 高橋裕 室内楽作品集 Camerata CMCD99079〜80
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曲目解説
プラーナとはサンスクリット語で宇宙で偏在するエネルギーを表し、森羅万象生きとし生けるものは、このプラーナによって生かされているという。さらに呼吸、魂などとも解される。ヴァイオリンのダウン・ボウ、アップ・ボウ(下げ弓、上げ弓)はまさに呼吸そのものであり、そこから生命体としての声、メッセージが発せられるのである。弦と弓が擦れ合い松脂が飛び散るという、擦弦楽器特有の音の質感や重音奏法に強く引き付けられ、この曲を書き始めた。ピアノパートはクラスターに近い和音の打鍵を聴くことになる。ヴァイオリンが生命体ならば、ピアノは宇宙か。異なる相を持つ両者は次第に渾然一体となり、クライマックスに向かっていく。

オーケストラのための「カムナビ」  ["Kamnabi" for Orchestra]
Kamnabiとは、神奈備、神名火と書き、神の宿る森から一本の笛の音は様々な魂を呼び覚ましていく。
作曲年 1999
編成 Orch3管編成
演奏時間 22'
初演年月日・会場
1999年10月8日 京都コンサート大ホール
初演者
大友直人指揮、京都市交響楽団
主な演奏履歴
グアテマラシティーでも演奏されている。
出版者名 -
備考
-
曲目解説
Kamnabiは神奈備、神名火と書き表され、神の座(おわ)す杜、神のしずまる森を意味する。(祝詞式、万葉集)原始古代の人々は、太陽や月、山川草木から一つの石に到るまで、神や霊が宿っていると感じていた。老樹や大木が鬱蒼と生ひ茂る森に、犯すことの出来ない神聖さを感じ、拝するようになったことも自然のごとく思われる。この曲を作曲するにあたって、森から聴こえてくる樹々の語らい、息づく命あるものの声に、耳を澄ませたいと思った。静寂(しじま)に響く一本の笛の音は、さまざまな魂を呼び覚ましていく。あらゆるものを育(はぐく)み、包み込む森は、それ自体がやがて大きな命と化していく。曲は二つの部分に分かれている。自然増殖していくかのごとく、様々な楽器が重層的に重なり合い、混沌の様を呈していく前半。やがて一つになった歌がユニゾンで歌いつがれ、大地の律動とともに、大きなうねりを生み出していく後半。深い呼吸の中で、曲はゆっくり歩みを進めていく。

無伴奏ヴィオラのための「アハウ・カン」 ["Ahau・kan" for Viola solo]
アハウ・カンとは古代マヤ語で「蛇の王」を意味し、ヴィオラの旋律線は無量の空を飛翔する。
作曲年 2003
編成 Viola solo
演奏時間 16'40”
初演年月日・会場
2003年1月31日 東京文化会館 小ホール
初演者
Va市坪俊彦
主な演奏履歴
 
出版者名 -
備考
〜宇宙の相を聴く〜 ”プラーナ” 高橋裕 室内楽作 品集 Camerata CMCD99079〜80
曲目解説
2001年8月深夜、マヤ文明の中心グアテマラ、ティカールの遺跡のピラミッドの上にいた。漆黒のジャングルを覆う満天の星空があった。アハウ・カンとは、古代マヤの言葉で「蛇の王」と訳す。マヤの人々が崇拝していたプレアデス星団のスバルをも意味しているという。驚異的な天文学やピラミッドを有し、アハウ・カン等の神々を信奉するマヤ文明には興味の尽きることがない。H(ロ)の音を基音とした旋律線のうねりは、非常に高いB(変ロ)の音から最低音のC(ハ)の音まで、無量の空を行き来する。ヴィオラの高音と低音にひかれて、この曲を書き始めたと言える。二つの旋律線が絡み合いながら進む中間部と、奔放に動き回る後半部分の三つの部分に分かれている。

ピアノ五重奏曲  [Piano Quintet]
弦のハーモミックス、ピアノの高音の和音から始まる世界はこの曲の階調となっている。
作曲年 2003
編成 Pf. TVn.UVn.Va.Vc.
演奏時間 21'30”
初演年月日・会場
2003年1月31日 東京文化会館 小ホール
初演者
Pf蓼沼恵美子、TVn.澤和樹、UVn.大関博明、Va市坪俊彦、Vc林俊昭
主な演奏履歴
 
出版者名 -
備考
〜宇宙の相を聴く〜 ”プラーナ” 高橋裕 室内楽作品 集 Camerata CMCD99079〜80
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曲目解説
曲は、宙空に微かな音が重なり合うように始まる。 弦のナチュラルハーモニックスによって作り出される空間は、ピアノの高音の和音を呼ぶ。徐々に拡がりをもちながら高まりを見せるが、なぜ故にか、弦もピアノも高音の世界が長く続くことになる。ピアノが煌めくように遊ぶ中間部には、弦の旋律が静かに歌われていく。3部に分かれているこの曲最後の部分は狂気乱舞の様相を呈するが、やはり静かな想いが底に流れている。

六重奏曲「迦楼羅」  [Sextet "Garuda"]
「迦楼羅」とは有翼怪鳥の鬼神であり、京都三十三間堂の迦楼羅王は笛を吹き、曲中能楽の高音の鋭いヒシギを聴くことになる。
作曲年 2003
編成 Fl.Cl.Vn.Va.Vc. Pf.
演奏時間 17’30”
初演年月日・会場
2003年7月11日 すみだトリフォニーホール・小ホール
初演者
Fl.斎藤和志、Cl.濱崎由紀、Vn.長原幸太、Va.村上淳一郎、Vc.傳田正則、Pf.藤原亜美、Cond.松尾祐孝
主な演奏履歴
チェコやウクラ イナ国際音楽祭においても演奏されている。
出版者名 六重奏曲「迦楼羅」マザーアース NO.T1401
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備考
カメラータ東京よりCD化の予定
曲目解説
曲名の迦楼羅とは、サンスクリッド語の"Garuda"の音訳で、それは有翼怪鳥の鬼神である。四天下の大樹にあり、また龍を獲って食す時、龍は悲苦の声を出すといわれる。京都三十三間堂の迦楼羅王は笛を吹いているが、この曲中でもフルートの"ヒシギ"(能管による高音による笛音)を何度か聴くことになる。静寂の天に迦楼羅と龍が舞う様は恐ろしい。曲は大きく3つの部分に分かれている。それぞれの楽器は、次元の異なった響きを奏でながら一つの大きな宇宙を形成していく。

2群の箏と弦楽合奏のための「天籟」  ["Tenrai" for Koto of 2groups and String orchestra]
2群の箏と弦楽合奏が織り成す、和と洋の天に響く「天籟」は、様々な相を成しながら一つの大きな宙を形作っていく。
作曲年 2004
編成 Koto of 2groups、 String orchestra
演奏時間 26”
初演年月日・会場
2004年11月7日 東京藝術大学奏楽堂
初演者
箏.佐野美和、守時昌美、大西愛子、前川智世、Cond.渡邉康雄
主な演奏履歴
グアテマラシティーでも演奏される。
出版者名 -
備考
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曲目解説
古来日本人は天籟(てんらい)、地籟(ちらい)、風籟(ふうらい)という言葉でもって、自然や森羅万象に響く音に耳をすまし、愛でて来た。天籟とは、天然になる音を意味し、地籟と対になって天に鳴る音と表している。天界の音、星辰の音を聴きたいという想いは、誰もが願う作曲家の夢のひとつであろう。もし宇宙に音の伝わる大気があれば、ビッグバンは如何なる音が鳴っていたのであろうか?銀河系の巨大なる渦は、いかなる響きを織り成しているでのあろうか。物言わぬ山川草木は、ほんとうに音楽を持っていないのであろうか?聴き得ない音に想いをいたすひと時は、私にとっては至上のひと時と言っても過言ではなくなってきた。太古の時代から存在する日本の箏と、西洋文明の粋をこらした弦楽器群との出会いは、いつまでも興味は尽きることはない。ある時は相対し、ある時は溶け合いながら響き合う。曲は大きく三つの部分に分かれているが、様々な相を呈しながらクライマックスを形作っていく。

能とオーケストラのための 「葵上」(宝生流版) ["AOINOUE" for Orchestra and Noh performance]
日本の最高の伝統芸能の能と、オーケストラとの融合は世界でも初の試みである。中でも人気曲「葵上」とコラボレーションは絶賛を博した。
作曲年 2006
編成 Orchestra and Noh performance
演奏時間 31’30”
初演年月日・会場
2006年3月12日 石川県立音楽堂コンサートホール
初演者
Cond.小泉和弘、オーケストラ・アンサンブル金沢、シテ藪俊彦、金沢能楽会
主な演奏履歴
2008年京都で、 2014年東京でも観世版を自らの指揮で演奏する。
出版者名 -
備考
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曲目解説
葵上との車争いで、辱めを受けた六条御息所は、生霊となって怨みをはらさんとする。この源氏物語を題材として、能「葵上」は六条御息所の恨み、哀しみに焦点をあて、不要なものを削ぎ落としていく。曲名である葵上ですらもが、舞台正先に置かれる小袖に象徴されるのみである。日本の美の極みともいわれる能面に能装束、深い人間描写とともに演じられる歌舞劇は、「芸」と「型」を重んじ極端に抽象化された、類のない総合芸術となっている。方や西洋音楽のオーケストラは、弦楽器、管楽器、打楽器と発展してきた楽器を次々と加え、編成を大きくすることによって豊かに発展してきた。人間の感情表現を大きく表すことによって悲喜劇を生み出してきた西洋の歌劇や、総合芸術を目指したワーグナーの壮大な楽劇に比べると、いかに能の世界が西洋の音楽と異なっているかがわかるであろう。高度に完成された能は、それだけで既にひとつの世界を創り完結している。そこにオーケストラが入り込むということは、犯してはならない聖域に足を踏み入れるようなものではないか、という想いが常に頭の片隅にあった。しかしながら、逆に西洋音楽に邦楽器が入り込むことが、きわめて難しいことを前提として考えるならば、能の場合には、不思議に可能性があることを感じていたのも確かなことであった。名曲であればあるほど、音が少ない静寂の間や、その間の孕む空間も豊かに存在するのである。観る人に想像させる余白も大切にしている。抑えた感情表現を上位としていることも、等々。無謀と言われようとも、新しい地平の上で能を舞ってもらいたいという想いの方が強まっていったのである。作曲の姿勢としては、能「葵上の世界に染み入るかのように寄り添い、重層的な世界をもって大きく包み込むことが出来たならと願って、書き進めていった。
能とオーケストラのための「井筒」 ["Izutsu"for Orchstra and Noh performance]
幽玄能の中でも静謐な愛を描く"井筒"とオーケストラのコラボレーションは、深い感動を味あわせる作品として好評を博した。
作曲年 2008
編成 Orchestra2管編成 and Noh performance
演奏時間  
初演年月日・会場
2008年10月31日石川県立音楽堂コンサートホール
初演者
Cond.井上道義、オーケストラ・アンサンブル金沢、シテ広島克栄、金沢能楽会
主な演奏履歴
 
出版者名  
備考
 
曲目解説
「井筒」は世阿弥が「直なる能なり。上果(花)なり」と申楽談義に自賛する作である。能を代表する曲の一つともいわれている。曲趣は三番目物の曲で、全体に位の静かなシットリと淋しく、しかも優美を失わぬ曲柄、と謡本に記されている。舞台には井筒の作物に一叢薄が秋の風情をかもし出し、「筒井筒 井筒にかけし まろがたけ 生ひにけらしな 妹見ざる間に」と謡われる。現在の奈良天理市にある在原寺(在原神社)は、今も寂れたままに井筒の井戸があり、石碑に一叢薄がかかって、往時もそのままかと想わせている。業平に想いを残し、閼伽の水を手向ける前ジテは、形見の直衣を身に纏う後ジテとなって現れ、業平を偲び焦がれ序の舞を舞う。オーケストラはこの井筒の女に寄り添うがごとく旋律を滲ませていく。薄をかきわけ井筒を覗き込んだ瞬間、全ての想いを孕んだまま永遠の一瞬として、無音の静止が生まれる。世阿弥の珠玉の作品に向かい、その花の奥に触れようと作曲に費やした時は、まさに至福の時となった。オーケストラの鐘の音とともに、夢も破れて覚めてゆき、夢は破れて明けていく。
能とオーケストラのための「葵上」(観世流版) ["AOINOUE" for Orchestra and Noh performance(Kanzeryu edition)]
流麗な観世流「葵上」は宝生流とはまた異なった世界を現出し、驚きと感動もたらした。
作曲年 2008
編成 Orchestra1管編成 and Noh performance
演奏時間  
初演年月日・会場
2008年12月19日京都府立府民ホール"アルティ"
初演者
Cond.高橋裕、京都アルティ合奏団[第1回公演]
主な演奏履歴
原曲は2006年に金沢で初演された宝生流版。
出版者名  
備考
 
曲目解説
オーケストラ・アンサンブル金沢で初演された「葵上」(宝生流)の観世流版である。オーケストラは1管編成にしぼり、観世流の流麗な「葵上」に添い大幅に改定を試みた。同じ演目ではありながらも異なる世界が現出し、感動を誘った。
オーケストラ・中国民族楽器・邦楽器・声楽のための「茉莉花と桜の宴」
中国の民謡の中で最も広く愛唱されている「茉莉花」と日本の「さくらさくら」「元禄花見踊り」 が最後には一つになって盛り上がる。
作曲年 2010
編成 Orchestra 中国民族楽器(琵琶、古箏、二胡、揚琴) 邦楽器(箏、三味線、尺八、笛、太鼓) Sop.2重唱 合唱
演奏時間 10分
初演年月日・会場
2010年3月26日 北京中央音楽学院附属中等音楽学校
初演者
指揮 高橋裕 北京中央音楽院附属中等音楽学校、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校生徒
主な演奏履歴
2010年3月29日 上海音楽学院附属中等音楽学校
曲目解説
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校と北京中央音楽院附属中等音楽学校、上海音楽学院附属中等音楽学校との中日青少年交流演奏会のために作編曲された曲。中国の民族楽器、日本の邦楽器、オーケストラ、ピアノとともに、両国の声楽の生徒が、中国で最も広く愛唱されている「茉莉花」と日本の「さくらさくら」を歌い、長唄の「元禄花見踊り」とともに、三曲が重なり合ってクライマックスを作っていく。
オペラ「双子の星」  [Opera"Twin Stars" ]
宮沢賢治の童話「双子の星」をドラゴンボールの脚本家、小山高生が脚色、狂言師、俳優を伴った異色の感動のオペラ。
作曲年 2011
編成 Orchestra1管編成,Opera Singers,Kyougen actor,Actor,Childrens Chorus
演奏時間 2時間15分
初演年月日・会場
2011年3月19日, 20日、京都府立府民ホール"アルティ"
初演者
北村敏則(Ten) 日紫喜恵美(Sop)丸石やすし(狂言師)平岡秀幸(俳優)他 みやこ・キッズハーモニー(児童合唱)京都アルティ合奏団
主な演奏履歴
 
出版者名  
備考
 
曲目解説
「双子の星」「よだかの星」「銀河鉄道の夜」、宮沢賢治の作品の中でも、星の世界に入っていくこれらの作品は、とりわけ心を打つ鈍色の光を放っています。「双子の星」は、双子の星の清らかな心と、対照的な大烏、サソリ、帚星達の心との出会い、天界の双子の星と海の世界のヒトデ達との出会いが大切なモティーフとなっております。その他にも天界の王様と海の底の王様の存在等々、宮沢賢治の世界は重層的な広い宇宙観をもって書かれています。オペラ「双子の星」においても、いくつかの新たな試みの中に、異なるものが十字に組んでいく仕組みを見ることができます。西洋のオーケストラ、ベルカント唱法で歌うオペラの歌手とともに、それに対する狂言師と俳優の方の存在が特に大きな位置を占めております。また、素晴らしいプロの演奏家とともに、児童合唱の澄んだ声も大切な役割を担っております。現代音楽の作曲家とアニメの脚本家との、初めてのオペラの共同制作も異色であり、エキサイティングな創作となりました。しかしそれらの異質な取り合わせが宮沢賢治のやさしい愛の世界に包まれて、真に十字に組んでひとつになり、今までにない新たな世界を垣間見せてくれました。
琵琶とヴィオラ、オーケストラのための「二天の風」 [”Wind of Niten”for Biwa, Viola and Orchestra] 
和の琵琶と洋のヴィオラが、オーケストラ宇宙の中で様々な次元の出 会いを繰り広げます。
作曲年 2013
編成 琵琶、Viola、Orchestra 2管編成
演奏時間 22分
初演年月日・会場
2013年12月15日 石川県立音楽堂
初演者
琵琶:田中之雄 Viola:須田祥子  指揮:高橋裕 オーケストラ・アンサンブル金沢
主な演奏履歴
2014年 「和と洋の想を聴く」文京シビックホール大ホールでも演奏される。
出版者名  
備考
 
曲目解説
「二天」とは、一、四天王中の持国天と増長天。二、日天子と月天子また、日天と月天。三、梵天と帝釈天。 四、仁王と同じ。 と広辞苑に書かれている。琵琶とヴィオラは比較的音域も近い楽器であり、また、西アジア、同じアラビア圏のウードやルバーブ等を 起源とされていると も言われる楽器である。 しかしながら、この二つの楽器は元々撥弦楽器と擦弦楽器の違いはあるものの、洋の東西に分かれて歴史を経ることによって、存在自体が全く異なる実体を 持つ楽器となっていった。二つの和と洋のソロ楽器は常に次元を異にしながらも、時には寄り添うかのように、時には日天と月天のように相反しながらも 大きな天を創成していく。オーケストラもまた異なる次元から加わり重層的な混沌の相を呈していく。 曲は大きく三つの流れに分かれているが、根源的には日本古来からである、音と音との狭間に生じる畏怖を感じさせるような間と空間が、曲の根底に存在している。 その深奥に触れられることを願い、祈るような想いで作曲の歩を進めていった。琵琶とヴィオラの不可思議にむすびあう音は風とともに天に入る。
4人のソプラノのための「敗れし少年の歌へる」
宮沢賢治の作詞、4人のソプラノのための希有な斬新な曲となった。
作曲年 2014
編成 4Soprano & Piano
演奏時間 11分
初演年月日・会場
2014年11月9日 東京藝術大学奏楽堂
初演者
Sop.:神藤結、瀧本真己、唐澤萌香、齊藤舞 Pf.:高橋裕
主な演奏履歴
 
出版者名  
備考
 
曲目解説
少年宮沢賢治は、雪の被れる深夜、万葉の青海原を前にして、天空にサファイアのごとく輝ける土星を、 恋い焦がれ飽くこともなく眺め続 けいるている。しかし哀しくも明けゆく空は瞬く星を溶かしてゆく。 この曲は、藝大附属音楽高等学校の最後の声楽科卒業生となった、四人のソプラノ奏者のために書かれたが、図らずも藝高創立60周年を祝う曲となった。
2人のソプラノと箏、オーケストラのための「ファンタジック・ポエム・金沢」 NEW
石川県の民謡「鶴来節」、「能登麦や節」と子守歌「寝せよ寝せよ」を元に、大胆な作編曲を試み石川色豊なファンタジックな曲となっている。
作曲年 2015
編成 2Soprano 箏 Orchestra .
演奏時間 10分
初演
2015年11月14日 石川県文教会館ホール
初演者
指揮 斉藤忠直 石川県立金沢辰巳丘高等学校、小松市立高等学校生徒他
曲目解説
石川県の「勧進帳」の囃子に始まり、有名な民謡「鶴来節」「能登麦や節」に子守歌「寝せよ寝せよ」が加わり、二人のソプラノとオーケストラがポリフォニックに絡み合いながらクライマックスを作っていく。

オペラ「双子の星」(小編成版) [Opera"Twin Stars"] (Chamber Orchestra version) NEW
オーケストラを弦楽四重奏、Fl.Cl.Pf.の小編成にした普及版。
作曲年 2016
編成 弦楽四重奏、Fl.Cl.Pf .
演奏時間 2時間15分
初演
2016年3月21日 盛岡市民文化ホール大ホール
初演者
佐藤淳一(チュンセ) 佐藤順子(ポウセ) 能村晶人(狂言師・彗星)松崎太郎(赤目の蠍)鈴木誠(大烏・鯨)他 NHK少年少女合唱隊 オペラ「双子の星」管弦楽団 指揮:高橋裕
曲目解説
「双子の星」「よだかの星」「銀河鉄道の夜」、宮沢賢治の作品の中でも、星の世界に入っていくこれらの作品は、とりわけ心を打つ鈍色の光を放っています。「双子の星」は、双子の星の清らかな心と、対照的な大烏、サソリ、帚星達の心との出会い、天界の双子の星と海の世界のヒトデ達との出会いが大切なモティーフとなっております。その他にも天界の王様と海の底の王様の存在等々、宮沢賢治の世界は重層的な広い宇宙観をもって書かれています。オペラ「双子の星」においても、いくつかの新たな試みの中に、異なるものが十字に組んでいく仕組みを見ることができます。西洋のオーケストラ、ベルカント唱法で歌うオペラの歌手とともに、それに対する狂言師と俳優の方の存在が特に大きな位置を占めております。また、素晴らしいプロの演奏家とともに、児童合唱の澄んだ声も大切な役割を担っております。現代音楽の作曲家とアニメの脚本家との、初めてのオペラの共同制作も異色であり、エキサイティングな創作となりました。しかしそれらの異質な取り合わせが宮沢賢治のやさしい愛の世界に包まれて、真に十字に組んでひとつになり、今までにない新たな世界を垣間見せてくれました。

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